電子書籍のよいところのひとつに基本的に絶版がないことや復刻版が出しやすいことがあります。そんな中で見つけた名著をご紹介します。
戦後直後の昭和24年(1949年)に旧文部省が著作・発行した、ズバリ「民主主義」。当時、大半の日本人が知らなかった「民主主義」。特に今後の日本を担っていく青少年(中高生)向けに旧文部省が作った教科書です(とは言っても全体で400ページもあります!)。
この教科書が平成32年(2020年)に復刻電子書籍として復刻されたので早速読んでみましたが、若い人向けに書かれているので、全体構成や文章表現もとても分かりやすく、民主主義とは何か?や様々な課題についても色々な角度から取りあげられています。中でも心を動かされたのは「はしがき」に記された以下の文章です。その時代の方々の思いが伝わってきます。
「民主主義を単なる政治のやり方だと思うのは、まちがいである。民主主義の根本は、もっと深いところにある。それは、みんなの心の中にある。すべての人間を個人として尊厳な価値を持つものとして取り扱おうとする心、それが民主主義の根本精神である。」と。
(抜粋:民主主義 (角川ソフィア文庫):文部省)