2009年2月12日木曜日

アフリカレポート


松本仁一著「アフリカレポート」を読んだ。なぜ読んだかと言えば、知り合いの女性が海外援助の仕事で、3月からタンザニアで3年間働くことから、あまり興味のなかったアフリカについて少しでも知っておきたいという単純な動機からである。彼女は昨年ようやく経済学のドクターを取得し、これまでもアフリカをフィールドにに調査をしてきた。ブルキナファソ、セネガル、南アフリカと渡り歩いている。
「アフリカレポート」の話に戻ると、政権の腐敗と大衆の極貧、それがゆえの紛争の状態化が何とも痛々しい。同書によるとアフリカの国々は以下の4つのタイプに分類できるという。
①政府が順調に国づくりを進めている国家(ボツワナくらい)
②政府に国づくりの意欲があるが、運営手腕が未熟なため進度が遅い国家(ガーナ、ウガンダ、マラウィなど10か国程度)
③政府幹部が利権を追い求め、国づくりが遅れている国家(アフリカで最も一般的で、ケニア、南アフリカなど)
④指導者が利権にしか関心をもたず、国づくりなどはじめから考えていない国家(ジンバブエ、アンゴラ、スーダン、ナイジェリア、赤道ギニアなど)
特に、ジンバブエは独立から20年程度は順調に発展し、特にアフリカでは農業国として最も豊かな国だったのが、今回選挙で敗れたムガベ大統領の腐敗により10年程度で一気に最貧国となってしまった例は、全く痛ましいとしか言いようがない。
アフリカの例は極めて厳しく、どこから手をつけてよいか分からないほどのものであるが、アメリカなどでは政府の腐敗こそアフリカほどではないものの、巨大民間企業等等からの多大の寄付やロビー活動等により、先にも述べたように、大企業にとって有利な「新自由競争」により、貧富の差が大恐慌以前に逆戻りしたと言われるほど拡大してきている。ある統計では、貧富の差の世界ランクでは、アメリカが第1位で、日本が第2位という。アフリカの事例は全く別の世界の話ではなく、明日の日本の姿かもしれないのである。

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